具体例を元に説明します。
例:15年前に4000万円で取得したマンションを売却する事にしました。周辺相場からすると5000万円
で売れるそうです。この時にかかる税金はいくらか?
A:不動産を売却した際の売却益を『譲渡所得』といいます。不動産は、原則として他の所得とは別に計
算する分離課税となります。
まず、譲渡所得を計算してみましょう。
譲渡取得=売却価格-(取得費+譲渡費用) 図1譲渡取得計算内訳を参考ください。
図1:譲渡取得計算内訳
取得費 | 購入代金(建築費、設計料。※建物は減価償却の累計を差し引く) 仲介手数料、取得にかかわる税金(印紙税、登録免許税、不動産取得税) 購入後の設備費、改良費等 |
---|---|
譲渡費用 | 仲介手数料、測量費、立退料、建物解体費等 |
例では条件が足りないので追加します。
○取得費=(購入価格+税金等諸費用)-減価償却
購入価格4,000万円(建物1,800円、土地2,200万円)
減価償却364.5万円
税金等の諸費用86万円
※減価償却費は、建物の構造や用途、年数によって変わります。やや複雑ですので、専門家に相談してください。
○譲渡費用
仲介手数料156万円
譲渡取得=5,000万円-(3721.5万円+156万円)
譲渡取得金額は1,122.5万円となります。
譲渡所得に対する所得税と住民税を併せて、通称『譲渡税』と言います。
その税率は所有期間によって変わります。売却した年の1月1日時点で5年以内の場合が
「短期譲渡」、5年を超えると「長期譲渡」です。税率は図2譲渡税表を参考ください。
図2:譲渡税表
区分 | 所有期間(税率) |
---|---|
短期譲渡 | 5年以下(39%)※所得税と住民税ふくむ |
長期譲渡 | 5年超(20%)※所得税と住民税ふくむ |
その他 | 10年超所有自宅軽減税率の特例(14%)※譲渡取得が6,000万円以下の場合に限る |
今回場合、15年所有していますから長期譲渡となり、税率は20%です。
税額は[1122.5万円×20%=224.5万円]となります。
最終的に手元に残る金額は、売却価格から仲介手数料と譲渡税を除いた金額。
すなわち[5,000万円-156万円-224.5万円=4619.5万円]です。
今回のケースは不動産の用途を限定していませんので、上記のような計算になりましたが、もしも居住
用財産であれば特例があります。基本的なものが「マイホームの3000万円特別控除」と
「10年超所有自宅の軽減税率の特例」です。
まず前者は、税率を掛ける前に譲渡所得から3000万円を控除できるというもの。今回ケースでは、譲
渡所得が1,122.5万円ですから、全額控除の対象となり、税額はゼロ。
仮に3000万円控除した後にも譲渡所得が残る場合でも、所有期間が10年を超えていると、
控除後の譲渡所得のうち6000万円までは税率が14%になる特例があります」